あなたは錯覚資産を持っていますか?『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』を読んでみた。
『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』(著書:ふろむだ)を読んでみました。
著者は、「分裂勘違い君劇場」という大人気ブログの運営者。リアルでは、複数の企業を創業し、そのうち1社は上場を果たす経営者の一面もあります。
つい先日、本屋に寄った時、タイトルが凄い印象的で気になってしまい、思い切って購入しちゃいました。
読んでみると、凄く面白くて、1日で読了。
今までにない斬新な視点で語られている自己啓発本だったので、今回紹介しようと思いました。
さて、この本は、タイトルの通り、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」が人生をよりよくするという内容であり、認知心理学に基づいて語られています。
著者はその勘違いさせる力を「錯覚資産」と読んでいます。
では、この錯覚資産とはなんなのでしょう。
錯覚資産とは
例えば、能力が全く同じ2人の男がいるとします。
片方が超絶イケメンで、もう片方がブサメンだとしましょう。
どっちが仕事ができるように見えるでしょうか。
これは、多くの人が超絶イケメンを選んでしまうそうです。
見た目で判断するのは良くないよ!って思う人は多いと思います。
僕もそう思います。
しかし、これはほとんどの人が無意識に選んでしまい、「容姿が優れている」という特徴が、漠然と「その人間が全体的に優れている」とイメージに変換されてしまうのだといいます。
これは「思考の錯覚」といい、本人は錯覚していることに気づけないらしい。
「容姿が優れている」は一つの例ですが、このように「人々が自分に対して持っている、自分に都合の良い思考の錯覚」は、その人にとって、一つの資産として働きます。
これを「錯覚資産」と呼ぶのだそうです。
錯覚資産は、容姿だけではありません。
例えば、僕が「月間300万PVのブロガー」だと、読者の方が認知していたとしましょう。
その肩書きを持っているだけで、読者は「この人の記事には説得力がある」とか「この人の言うことならきっと正しい」とか、大した内容の記事を書いてなくても、そう信じてしまい、思考の錯覚に陥ってしまいます。
このように、何か一つ優秀なところがあると、その人は全体的に優秀であると錯覚しまうのです。
これを「ハロー効果」と呼んだりします。
「ハロー効果」の「ハロー(halo)」とはあいさつではなく、後光のことであり、何か1点が優れていると、後光がさして、何もかもが優れて見える錯覚のことです。
世の中には、この「ハロー効果」のような「思考の錯覚」に溢れているとのことです。
実力を伸ばすためには、錯覚資産を伸ばす必要がある
錯覚資産を伸ばさないと、自分の実力はなかなか伸ばせないと著者はいいます。
「実力」というのは、よい上司、よい同僚、よい部下、よいポジションという、よい「環境」に恵まれてはじめて、効率よく伸びていく。
そういうよい環境を手に入れられるかどうかは、実力よりもむしろ、錯覚資産によるところが大きいのだ。
なぜなら、企業は、実力のある人間を採用し、いいポジションにつけているつもりになっているが、実際には、ほとんどの場合、錯覚資産の大きい人間を採用し、いいポジションにつけているからだ。(20ページ)
この「よいポジション」というのは、「実力があると周囲が錯覚する」ことで得られ、いくら実力があっても、錯覚していない限りは得られないとのことです。
「錯覚資産によってよい環境が手に入り、よい環境によって実力が育ち、実力があるからそれが成果を生み、その成果を利用しさらに錯覚資産を手に入れる」というループがまわることで、錯覚資産と実力が雪だるま式に増えていくという構造があるのだ。(25ページ)
世の中は「実力主義」だと言われているが、実際はそれが周囲に認知されない限りは意味がなかったのです。真実は「実力があると思わせたもん勝ち」だったのです。
錯覚資産を大きくするためには
では、錯覚資産を大きくするためには、どうすればよいのでしょう。
人間は、「思い浮かびやすい情報」を過大評価するのに、その思い浮かびやすい情報が、ハロー効果を引き起こすものだったら、相乗効果で、とんでもない威力になるとのことです。
つまり、錯覚資産は、この「ハロー効果」に、情報の「思い浮かべやすさ」と「それを思い浮かべる人の数」を掛け合わせることで大きく出来ます。
3つの次元であらわすと「ハロー効果✖️思い浮かびやすさ✖️思い浮かぶ人数」となり、この体積が錯覚資産の大きさになるそうです。
例えば、僕が営業で3億円売り上げたとしましょう。
この成果は、思い浮かぶ人数が多くても、印象が弱く、すぐ思い浮かんでくれなければ(思い浮かべやすさが小さければ)、錯覚資産はそこまで大きくならない。
また、すぐ思い浮かんでくれるほどインパクトが強くても(思い浮かべやすさが強くても)、それを知っている人数がそもそも少なければ、同様に錯覚資産はそこまで大きくならない。
この3つの要素が大きく働くことで錯覚資産を最大化させることが出来るのです。
そしてこの錯覚資産は「複利」で大きくなるといいます。
ハロー効果が強くなれば強くなるほど、より多くの人の印象に残りやすく、「思い浮かびやすく」なる。多くの人に「思い浮かべられやすい」人は、それだけ、よい環境をゲットできる。それによって、さらにハロー効果が大きくなる。
また、より多くの人に「思い浮かべられやすい」という事実自体が、ハロー効果を生み出す。
もちろん、環境がよければ、よりよい経験をして、実力も身につきやすくなる。実力が伸びると、それだけ数字を作りやすくなり、さらに錯覚資産が増える。実力の増大と錯覚資産の増大が、互いに相乗効果を及ぼしながら、複利で増えていくのだ。(342、343ページ)
錯覚資産自体が、次の錯覚資産や実力の元手になっているので、著者はこれを「錯覚資本」と呼んでいます。
自分の錯覚資本を見つけたら、実力を伸ばすよりもまず、それを大きくするための努力をして、錯覚資本の拡大を図るべきなのかもしれません。
そうして大きくした錯覚資産は、僕らの財産となり、人生をより良くしてくれる。
この本にはそのための方法論がたくさん詰まっています。
興味があれば、ぜひ読んでみてはどうでしょうか。
『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』