【書評】『「食」を変えれば人生が変わる』を読んでみた。
健康状態とは何か?
分子整合医学の考え方で言うと、健康状態とは、「細胞内の仕組みが正しく機能すること」であり、不健康状態とは、「たとえ検査に異常が発見されなくとも、その仕組みが機能しないこと」とのこと。
従来の医学では、「バクテリアやウイルスが病気の原因で、患者が病気になることに責任はない」と考えるが、分子整合医学では、病気の原因は「細胞の機能低下により、抵抗力が失われることで、バクテリアやウイルスに感染する」と考える。
『「食」を変えれば人生が変わる』(山田豊文)は、そんな分子整合医学の観点から病気を予防するためにはどういった食事をするべきか、ということが書かれている。
著者は、杏林予防医学研究所所長兼、倉敷芸術科学大学生命科学部健康科学科講師であり、メディアを通じて「食」による予防医学の普及に努めている方である。主な著書に『脳がよみがえる断食力』『病気がイヤなら「油」を変えなさい!』などがある。
今回は、第2章「失われた日本食と変わってしまった日本人」に焦点を当て、内容を紹介しようと思う。
変わったしまった食生活
僕らの体は「自然の適応」という法則を守っていれば、健康と長寿を約束されていると著者は言う。
しかし、わずか50年ほどの間に、日本人の食生活は大きく変わってしまった。
米の消費量は大幅に減ったのに対し、肉や乳製品の消費量は大きな伸びを見せている。
この食生活の変化が僕ら日本人に悪影響を与えているのだという。
アフリカ系の人々や、オーストラリア・アメリカ先住民の人々の皮膚は、強い紫外線に耐えられるようにメラニン色素が多く、また基礎代謝が高いため酸素を取り入れられるように鼻孔が大きく開いてます。
一方、ヨーロッパ系の人々は寒いところでも、紫外線を吸収してビタミンDを作るのに都合の良い、白く透き通った皮膚と金髪をしています。
また、冷気を通さないために、備考は狭く閉じています。
いい換えれば、スウェーデンなど北欧での日光浴は、くる病(骨が弱くなる病気)を防ぐための健康法であるのに対し、オーストラリアでの日光浴は自殺行為なのです。
それと同じく、もともと米、野菜、小魚主体の食事をしていた日本人が、肉や牛乳、バターなどを以前の倍以上も食べはじめるということは、やはり遺伝子の仕組みや適応性を無視した「自殺行為」と言えます。(『「食を変えれば人生が変わる」第2章より』)
日本人には、日本人に適した食生活がある。
日本人と欧米人では、腸の長さも違うことからも分かるように、同じ人間でも消化機能が違う。
戦前まで肉や乳製品などの動物性食品を取ることがあまりなかった日本人は、動物性タンパク質を分解するための消化酵素が少なく、高タンパク商品を食べると未消化のまま腸内に残る。
それが、腸内の悪玉菌のエサになり、腸内環境が悪化し、その結果、体の免疫力を下げてしまうのだ。
食べてれば、そのうち体質も変わるのではないか、という考えもあるかもしれない。
お酒を飲んでいるうちに酒に強くなったり、暑いところに住むようになって暑さに慣れてくるなど、人間はある程度、環境に適応できる。
しかし、肉を食べれば、「体が適応して腸の長さが変わる」ということがありえないことからも分かるように、僕らの遺伝子構造はそう簡単には変えることは出来ないのである。
マグネシウムを積極的に摂取しよう
多くの方が、ミネラルで一番重要なのは「カルシウム」だと思っているのではないだろうか。
スーパーなどで買い物をすると商品に「カルシウム〇〇g」と大々的に書いてあったりするが、マグネシウムが〇〇g含まれているといった宣伝は見たことがない。
それほど世間的には重要視されていないのかもしれない。
しかし、著者は「マグネシウム」の重要性を説いている。
マグネシウムは「ミネラルバランスのミネラル」であり、カルシウムやナトリウム、カリウムなどのミネラルの比率を一定化する役割を担っている。
ミネラルはバランスが重要であり、適正な比率を保つことで機能するので、ミネラルを上手く体に働かせるためには、マグネシウムを意識的に多く摂取する必要がある。
また、ミネラルで1番人気のカルシウムも、マグネシウムが不足している限りは上手く働かず、逆に体にとって悪い成分になってしまう。
マグネシウムがどれだけ重要な栄養素か分かって頂けただろうか。
そして、日本人のほとんどが「マグネシウム不足」であると著者は言う。
それは僕らが、玄米、豆類、味噌汁、野菜、海藻といったマグネシウムが豊富な「日本食」を忘れてしまったからではないだろうか。
未精製の食品をなるべく食べる
食品は精製される前の状態が、ビタミンやミネラルといった栄養素を最も多く含んでおり、その栄養素が代謝に使われる。
白米や精白小麦粉、白砂糖などの精製された炭水化物を摂取すると、エネルギーに代謝するための必要な栄養素が不足しているため、適切な代謝を行うことが難しくなるらしい。
そのため、細胞の働きが低下して、慢性的な疲れや、集中力が続かないなどの症状が起き、病気に進展していくのだという。
細胞の働きを正常化し、病気になりにくい抵抗力の高い体を作るためには、なるべく精製された食品よりも未精製の玄米や全粒小麦などを食べることを心掛けよう。
最後に
今回『「食」を変えれば人生が変わる』の第2章の内容を簡単に紹介した。
山田さんの本は、何冊か読んだけど、どれも内容がわかりやすく、情報量も多いため、凄く勉強になるので是非気になった方は読んで欲しい。
食事を変えることで病気を予防することができる。
体に不調を感じる方は、なんでも薬に頼るのではなく、食事を見直すところから始めてみてはどうだろうか。